相続放棄が認められない7つのケース!単純承認に該当する行為とは
借金や保証債務など、亡くなった方の「負の遺産」を引き継ぎたくない場合に有効な手段が相続放棄です。しかし、相続放棄は家庭裁判所に申述すれば必ず受理されるわけではありません。実は、知らずに特定の行為をしてしまうと、法律上相続を承認したとみなされ、放棄ができなくなる「単純承認」という落とし穴があります。
特に疎遠な親族の相続や、遺品整理を急ぎたい場合には注意が必要です。一度単純承認が成立してしまうと、後から多額の借金が発覚しても、返済義務を負うことになりかねません。
本記事では、司法書士の視点から相続放棄が認められない具体的な7つのケースと、受理の可能性を高めるためのポイントを解説します。この記事を読めば、避けるべきNG行為が明確になり、不安を軽減できるはずです。
知らずに借金を背負う?相続放棄が認められない「単純承認」の基礎知識
相続放棄を検討する際、最も注意すべきなのが「単純承認」です。これは、相続人が相続財産の全部または一部を処分したり、一定の期間内に手続きをしなかったりした場合に、すべての権利義務を引き継ぐ意思があるとみなされる制度です。 一度、単純承認とみなされる行為をしてしまうと、原則として相続放棄が認められなくなります。ここでは、手続きを進めるうえで知っておくべき単純承認の法的な効果と、注意すべき熟慮期間について解説します。そもそも「単純承認」とは何か?法的効力と発生する3つの条件
単純承認とは、亡くなった方のプラスの財産もマイナスの財産(借金)もすべて無制限に引き継ぐことを承認する行為です。民法では、相続人が相続財産を自分のものとして処分した場合などに、単純承認をしたものとみなすと定められています(法定単純承認、民法921条)。
単純承認をしたものとみなされる主な事由は、次の3点です。
- 相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為や短期の賃貸などを除く)
- 熟慮期間(原則3ヶ月)内に相続放棄や限定承認をしなかったとき
- 相続放棄や限定承認をした後でも、相続財産を隠したり、私的に消費したりしたとき
これらに該当すると、たとえ本人が相続したくないと考えていても、法的には相続をすることになります。したがって、相続放棄を検討している段階では、遺産に不用意に手をつけないことが安全を守る大原則となります。
相続放棄の「熟慮期間」3ヶ月を過ぎるリスクと対処法
相続放棄には原則3ヶ月以内という期限があり、これを過ぎることは単純承認につながる大きなリスクとなります。この期限は熟慮期間と呼ばれ、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時からカウントされます。
もし財産調査に時間がかかる場合は、期限が切れる前に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。何の手続きもせずに3ヶ月を過ぎると、原則として相続を承認したとみなされ、借金を引き継ぐことになりかねません。そのため、早めの初動が大切です。
一度却下されると再申述は難しい!慎重な準備が必要な理由
相続放棄の申述は、家庭裁判所に一度却下されると、同じ理由で再び申述しても認められにくい手続きです。却下の審判が確定した後は、特別な事情がない限りその判断を覆すことが難しいためです。
例えば、単純承認に該当する行為が明らかになって却下された場合、多額の借金を引き継ぐことになりかねません。慎重な準備が求められるため、司法書士などの専門家のサポートが役立ちます。影響の大きい手続きだからこそ、自己判断によるリスクを避け、丁寧な準備を心がけることが大切です。
【実例解説】相続放棄が認められない7事例!やってはいけないNG行為

ケース1:預貯金を解約・消費する
亡くなった方の預貯金を解約し、自分のために使う行為は、単純承認に該当するおそれがあります。相続財産を自分のものとして処分したと判断されやすいためです。 例えば、故人の口座からお金を引き出して生活費に充てたり、親族間で分配したりすると、相続を承認した行為とみなされるおそれがあります。相続放棄を少しでも考えている場合は、故人の口座や現金には手をつけず、そのまま保管しておくことが重要です。ケース2:遺産で借金を返済する
故人の遺産を使って、借金や未払い金を返済する行為も注意が必要です。相続財産から返済すると、相続財産を処分した行為と判断され、単純承認にあたるおそれがあるためです。 例えば、カードローンや知人への借金などを故人の預金から支払うと、相続財産を処分したと見られるおそれがあります。たとえ少額であっても、相続放棄を検討している段階では自己判断で支払わず、専門家に確認してから対応することが大切です。ケース3:家や土地を売却・名義変更する
故人名義の家や土地を相続人名義に変更したり、売却に向けて手続きを進めたりすると、相続する意思があると判断されるおそれがあります。不動産の名義変更や売却手続きは、相続財産を処分し、所有者として振る舞ったと見られやすい行為だからです。 例えば、実家の土地について不動産会社に売却を依頼したり、建物の相続登記を進めたりすると、相続財産を処分したと判断される可能性があります。不動産は金額が大きく、後から債権者などと問題になりやすい財産です。相続放棄を考えている場合は、売却や名義変更を進める前に、必ず専門家へ相談しましょう。ケース4:賃料を受け取る
故人が所有していたアパートや貸家の賃料を受け取る行為も、単純承認と判断されるおそれがあります。賃料を相続人のものとして受け取ることは、不動産を相続財産として利用・処分していると見られる場合があるためです。 例えば、入居者からの家賃を自分の口座に振り込ませたり、賃貸借契約の管理を引き継いだりすると、相続人として権利を行使したと判断されるおそれがあります。相続放棄を予定している場合は、賃料の取り扱いについて、早い段階で司法書士などに確認することが重要です。ケース5:高価な遺品を処分・形見分けする
形見分けであっても、高価な時計や貴金属、骨董品、ブランド品などを親族に配る行為は注意が必要です。財産的価値のある遺品を処分したと判断されれば、単純承認に該当するおそれがあります。一方で、経済的価値がほとんどない衣類や写真、日用品などは、単純承認にあたらないとされる場合もあります。 ただし、価値があるかどうかを自己判断するのは危険です。後から「価値のある財産だった」と指摘されるとトラブルになりやすいため、少しでも売却できそうなものは手をつけずに保管しておきましょう。ケース6:3ヶ月の期限を過ぎる
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。この期間を過ぎると、相続を承認したとみなされるリスクが高まります。 特に、疎遠な親族の相続や、財産・借金の全体像が分からないケースでは注意が必要です。調査に時間がかかりそうな場合は、期限が切れる前に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。何もしないまま放置するのではなく、早めに動くことが大切です。ケース7:財産を隠したり、虚偽の申述をしたりする
相続財産を隠したり、虚偽の内容で申述したりする行為は、相続放棄が認められない原因になり得ます。制度を不正に利用しようとする行為は、相続放棄の趣旨に反すると判断されるためです。 例えば、財産があることを知りながら「財産はない」と申述したり、相続放棄後に財産を隠し持っていたことが発覚したりすると、放棄の効力が問題になる可能性があります。相続放棄を進める際は、財産や借金の状況を正確に整理し、誠実に手続きを行うことが大前提です。【判断の境界線】葬儀費用や実家の片付けは「相続放棄できないケース」になる?
葬儀費用は出してもいいのか、実家の片付けをしてもよいのかという疑問は、多くの方が抱くグレーゾーンです。これらは保存行為や管理行為として認められる場合もありますが、その境界線は明確でなく、判断を誤ると相続放棄ができなくなるおそれがあります。 ここでは実務上で迷いやすい3つの場面について、裁判例や実務の考え方を踏まえた注意点を解説します。安全に整理を進めるための対策についても触れていきます。相続財産から「葬儀費用」を支払っても相続放棄は認められるのか
相続財産から葬儀費用を支払うことについては、社会的に相当な範囲内であれば法定単純承認にあたる「処分」には該当しないと判断した裁判例があります。葬儀は社会的な儀礼として必要なものであり、相当な範囲の支出であれば財産の処分とはみなされないと考える余地があるためです。
ただし、これは確立した最高裁判例があるわけではなく、金額や状況によっては処分と評価されるリスクもあります。身の丈に合わない過大な支出をしたり、香典返しを遺産から過剰に出したりすると、財産の処分と取られるおそれが生じます。故人の預金から支払う場合は、領収書をすべて保管しておきましょう。後から、社会的に見て相当な支出であったと客観的に説明できるようにしておくことが、自身を守ることにつながります。判断に迷う場合は、支払い前に専門家へ相談することをおすすめします。
価値がないならOK?「形見分け」とみなされる具体的な基準
経済的価値がほとんどない日用品や思い出の品を持ち帰ることは、単純承認にはあたらないとされるのが一般的です。財産的価値のないものを整理・配布することは、相続財産の価値を著しく減少させる行為とはいえないと考えられるためです。対象となるのは、使い古した衣類や、換価価値のない写真アルバム、安価な家財道具などです。 ただし「価値がない」という判断はあくまで主観的なものであり、後から骨董品やブランド品が含まれていたと指摘されると問題になりかねません。少しでも売れる可能性のあるものについては、価値の確認が終わるまで手をつけないのが安全です。実家の土地・建物に残された「家財道具の処分」における注意点
空き家となった実家の家財道具を業者に依頼して処分することは、単純承認とみなされるリスクを伴います。たとえゴミとして捨てたつもりであっても、財産を廃棄したという処分行為と判断される場合があるからです。良かれと思って不用品をすべて処分してしまった後で、債権者から「その中に価値のあるものがあった」と主張されると、反論が難しくなることがあります。明成法務のような専門家は、こうしたトラブルを未然に防ぐためのアドバイスを行っています。片付けを行う前に、まずは現状を写真に撮り、どこまで手をつけてよいかを司法書士に相談してから動くことが、借金を引き継ぐリスクを避けることにつながります。単純承認のリスクを回避する3つの手順!相続放棄の受理を目指す
ポイント

1. 相続財産には「不用意に手を触れない」のが基本の防御策
相続が発生したことを知ったら、まずは故人の財産の現状を維持することに徹してください。単純承認をめぐるトラブルの多くは、「少しだけなら大丈夫だろう」という油断から生まれています。通帳、印鑑、不動産の権利証などは鍵のかかる場所に保管し、他人が勝手に触れないように管理しましょう。何もしないことは不安かもしれませんが、法的には現状維持が相続の意思がないことを示すことにつながります。迷ったら「触らない・動かさない・使わない」を徹底することが、基本の自己防衛になります。2. 期限が迫っているなら「熟慮期間の伸長」を検討する
3ヶ月の期限が迫っているにもかかわらず、財産や借金の全容が見えない場合は、早めに熟慮期間の伸長の申立てを検討してください。期限を過ぎると原則として単純承認として扱われるため、家庭裁判所への申立てによって時間を確保する方法があります。 例えば、疎遠な親族の借金の有無が分からず、調査に時間がかかる場合、この申立てにより猶予を得られることがあります。この手続きは家庭裁判所に対して行うもので、司法書士が申立書の作成や必要書類の収集をサポートできます。焦って不十分な申述をするよりも、正当な手続きで時間を確保し、状況を整理することが受理に向けた着実な進め方です。3.司法書士に相談し、リスク確認と手続きの窓口を一本化する
相続放棄の申述書を提出する前に、専門家の視点で過去の行動に問題がないかを確認してもらうことが重要です。一度提出した書類の内容は修正が難しく、不用意な記載が却下の原因になることがあるからです。ここで補足しておくと、司法書士は相続放棄において、申述書などの書類作成をサポートする立場であり、家庭裁判所からの照会書への回答や申述はご本人が行う必要があります。 明成法務司法書士法人のように、司法書士が中心となり他士業とも連携する体制であれば、税務的な観点も含めた多角的なアドバイスが受けられます。相談窓口を一本化することで、情報の行き違いを防ぎ、スムーズに進めやすくなります。相続放棄は準備が大切!明成法務が選ばれる「3つの強み」
相続放棄、特に単純承認のリスクがあるケースにおいて、明成法務司法書士法人が多くの方に選ばれているのには理由があります。ここでは、弊社のサービスが提供する安心とサポート体制についてご紹介します。 単なる事務手続きの代行にとどまらない「負担軽減」の本質について解説します。借金問題や家族の問題など、複雑な悩みを抱える方ほど、弊社のワンストップ体制のメリットを実感していただけるはずです。年間1,000件超の相談実績!受理を目指すための実務ノウハウ
明成法務には、年間1,000件を超える相談実績があり、難しいケースにも対応してきた知見が蓄積されています。相続放棄の状況は千差万別であり、多くの現場を経験しているからこそ、家庭裁判所が確認するポイントや、申述時に注意すべき点を踏まえた対応が可能です。 期限を過ぎてしまったケースや、すでに遺産の一部を動かしてしまった可能性があるケースなど、判断が難しいご相談にも誠実に向き合ってきました。この経験の積み重ねが、お客様の安心を支える土台となっています。複雑な法律事務だからこそ、実績のある専門家に相談するメリットは小さくありません。司法書士が中心!他士業と連携し「迷わせない」ワンストップ体制
司法書士が中心となり、税理士などと連携するワンストップサポートは、明成法務の強みです。相続放棄には、その後の次順位相続人への対応や、税務上の問題、不動産の管理など、多岐にわたる知識が必要になる場面があります。 弊社にご相談いただければ、お客様が複数の事務所を回る手間を軽減できます。提携ネットワークを活用し、窓口を一つにまとめて手続きをコーディネートいたします。お客様を迷わせない体制を整えることで、手続きに伴う不安や負担を軽減します。物理的・心理的負担の軽減!「初回無料相談」から手続きをサポート
明成法務は、お客様の物理的・心理的な負担を軽減することを大切にしています。慣れない法律用語や、借金の督促、親族間のしがらみに悩むお客様の負担を、できる限り軽くしたいと考えています。 弊社の初回無料法律相談では、まずは不安な気持ちをじっくりとお伺いし、状況に応じた解決の道筋を提示します。ご依頼後は、煩雑な書類収集から家庭裁判所への対応まで、必要な手続きをまとめてサポートします。必要な手続きを一つひとつ着実に進め、制度を適切に活用することで、穏やかな日常を取り戻すお手伝いをいたします。まとめ:相続放棄は「誰に相談するか」で安心感とスピードが変わる
相続放棄は、不本意な借金を引き継がないために、法律が認めた正当な権利です。しかし、預貯金の引き出しや遺品処分、3ヶ月の期限を過ぎることなど、何気ない行動が単純承認とみなされ、その権利を失ってしまうリスクと隣り合わせにあります。相続放棄が認められなければ、多額の債務を背負うことにもなりかねません。
明成法務司法書士法人は、豊富な相談実績とワンストップ体制により、あなたが抱える不安や負担の軽減をお手伝いします。令和6年4月からの相続登記義務化など、法改正が続く相続の現場において、私たちは最新の知見と誠実な対応でお客様をサポートします。
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