預貯金の遺産分割方法と手続き|協議書の書き方と銀行での手順

親が亡くなった際、多くの方を悩ませるのが預貯金の相続手続きです。「複数の銀行口座があり、どこから手をつければよいか分からない」「銀行ごとに必要書類が違うと言われ、対応に困っている」という声もよく聞かれます。

預貯金はかつて相続開始と同時に自動的に分けられると考えられていましたが、現在は最高裁の判断により、遺産分割協議の対象として扱われています。本記事では、預貯金の分け方のパターンから、銀行に受理される協議書の書き方、手続きの流れまでを分かりやすく解説します。

預貯金の遺産分割方法は4パターン|状況に合わせた選び方

預貯金の遺産分割は、相続人全員の合意があれば柔軟に決めることができます。かつて預貯金は「当然に分割される財産」とされていましたが、現在は考え方が変わり、遺産分割協議の対象に含まれる財産として整理されています。代表的な4つの分け方を確認しましょう。

一人がその口座の預金をすべて受け取る方法

特定の相続人が、特定の口座の預貯金をすべて受け取る方法です。残された配偶者の生活費に充てる場合や、特定の口座を一人の子が引き継ぐ場合によく選ばれます。

裁判所の判断によると、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるとされています。この分野の変更以降、預貯金についても相続人全員の合意による分割方法を柔軟に決められるようになりました。

相続人全員で決めた割合(半分ずつ等)で分ける方法

「長男が2分の1、長女が2分の1」といった法定相続分や、話し合いで決めた割合で分ける方法です。公平性を重視したい場合に選ばれやすい方法といえます。ただし、この方法では解約時の残高に1円未満の端数が生じることがあるため、端数を誰が受け取るかをあらかじめ決めておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

代表者が一括で受け取り、後から他の相続人へ分配する方法

相続人の代表者が一人で預金を払い戻し、その後、協議で決まった金額を各相続人へ送金する方法です。相続人全員が銀行の窓口へ足を運ぶ手間を省けるため、複数の銀行にまたがって口座がある場合に選ばれやすい方法です。

代表者が振込手数料を立て替えることになりやすいため、負担を誰が持つかを事前に取り決めておくと安心です。

不動産を受け取る代わりに預貯金を渡す「代償分割」

特定の相続人が実家などの不動産を相続する代わりに、他の相続人へ自分の預貯金や相続した預貯金から代償金を支払う方法です。不動産のように物理的に分けにくい財産がある場合に、相続人間の公平を保つ手段として活用されます。代償金の金額や支払い時期についても、協議書に明記しておくことが望ましいといえます。

参考:裁判所「最高裁判所大法廷平成28年12月19日決定」
https://www.kuwahara-saga.com/types/20173/

銀行に受理される遺産分割協議書の書き方|記載例と3つのポイント

遺産分割協議書に不備があると、銀行の審査で差し戻され、相続人全員の署名や押印をやり直す手間が発生することがあります。法務局が公開している記載例をもとに、失敗しにくい書き方のポイントを確認していきましょう。

銀行名・支店名・口座番号を正確に書く基本ルール

どの口座についての取り決めかを第三者が明確に判断できるよう、銀行名・支店名・預金種別(普通・定期など)・口座番号を通帳の記載どおりに正確に書くことが基本です。法務局の記載例でも、相続財産を特定したうえで、誰がどの財産を取得するかを正確に記載する形式が示されています。

預貯金についても同様に、対象口座が誰の目にも分かるよう、通帳記載のとおりに正確な情報を記載することが求められます。

金額を書かず「一切の権利」とまとめて書く理由

協議書には、あえて具体的な残高を書かない書き方もよく使われます。解約が完了するまでの間に利息が発生し、金額が変動する可能性があるためです。記載内容と実際の残高に差異が生じると、金融機関での手続きが止まってしまうことがあります。

そのため「当該預金に関する払戻請求権その他一切の権利(利息を含む)」といった形で、口座単位を特定したうえで包括的に記載する方法が実務上よく用いられています。

半分ずつ・複数銀行をまとめて書く場合の記載例

預金を割合で分ける場合は「相続人〇〇が2分の1、相続人△△が2分の1を取得する」といった形で持分を明記します。複数の銀行口座がある場合は、口座ごとに条項を分けて記載する方法と、対象口座を一覧にまとめて記載する方法があります。

取得者が口座ごとに異なる場合は、条項を分けて記載したほうが誤解が生じにくく、金融機関での確認もスムーズに進みやすくなります。

端数や振込手数料の負担を決めておくメリット

割合で分ける場合に生じやすい1円未満の端数の扱いや、代表者が送金する際の振込手数料を誰が負担するかについても、あらかじめ協議書に記載しておくと安心です。こまかな点であっても、書面に残しておくことで、後になって行き違いが生じるのを防ぐことにつながります。

参考:法務局「相続(遺産分割のとき)記載例」
https://houmukyoku.moj.go.jp/shizuoka/page000001_00223.pdf

銀行での預貯金相続手続き|必要書類と5つの流れ

協議書が整ったら、いよいよ銀行での払い戻し手続きに進みます。手続きの流れと必要書類をあらかじめ把握しておくことで、窓口でのやり取りがスムーズになります。

死亡の連絡から口座が凍結される仕組み

金融機関に名義人の死亡を伝えると、その時点で口座は凍結され、通常の引き出しや振込ができなくなります。これは、相続人以外による無断の引き出しを防ぐための仕組みです。凍結後は、相続手続きが完了するまで、原則として入出金ができない状態が続きます。

葬儀費用など急ぎの支払いがある場合は、遺産分割前でも一部の預貯金を払い戻せる制度の利用を検討するとよいでしょう。この制度は相続された預貯金債権について、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられることを目的に創設されました。

共通して求められる戸籍謄本印鑑証明書などの書類

銀行での払い戻し手続きでは、一般的に次のような書類が求められます。

必要書類内容
戸籍謄本被相続人の出生から死亡までの連続したもの
相続人全員の戸籍謄本相続関係を確認するため
印鑑証明書遺産分割協議書に押印した実印のもの
遺産分割協議書相続人全員の実印による押印があるもの
通帳・キャッシュカード被相続人名義のもの

戸籍謄本を何度も収集し直す手間を減らすには、法務局の法定相続情報証明制度を活用する方法もあります。

法務局によると、法定相続情報一覧図の写しは、不動産の相続登記だけでなく、被相続人名義の預金の払戻し手続きなど様々な相続関係手続きに利用でき、複数の金融機関に戸籍謄本の束を何度も出し直す必要がなくなるとされています。

窓口・郵送での申請から入金までの流れ

一般的な手続きは、次のようなステップで進みます。

  • 銀行へ死亡の連絡をする(口座凍結)
  • 必要書類の案内を受け、書類を収集する
  • 窓口または郵送で書類を提出し、金融機関の審査を受ける
  • 代表相続人の口座へ入金され、解約手続きが完了する

窓口へ出向く時間が取りにくい場合は、郵送での手続きに対応している金融機関も多いため、事前に確認しておくとよいでしょう。

ゆうちょ銀行は「相続確認表」から始まる2段階の手続き

ゆうちょ銀行では、他の銀行と異なる進め方が必要になります。ゆうちょ銀行の案内によると、亡くなられた方と相続人の関係やゆうちょ銀行との取引内容などを確認するため、まず「相続確認表」に記入して提出することになっています。窓口に相続確認表を提出すると、提出後約1〜2週間で、相続手続きの専門部署である貯金事務センターから必要書類の案内が郵送で届く仕組みです。

その後、案内された書類を再度提出し、審査を経て払戻しとなるため、口座を確認してからお金を受け取るまでに一定の日数がかかります。複数の金融機関がある場合は、ゆうちょ銀行の手続きから優先して着手すると、全体のスケジュールが立てやすくなります。

参考:ゆうちょ銀行「ゆうちょ銀行の相続手続き」
https://www.jp-bank.japanpost.jp/tetuzuki/souzoku/tzk_szk_index.html

複数の銀行口座があるときの3つの注意点

記事のイメージ画像

相続する口座が複数ある場合、代表相続人にかかる負担は想像以上に大きくなりがちです。ここでは、複数口座があるときに押さえておきたい注意点を整理します。

銀行ごとに書式や必要書類が異なることがある

金融機関ごとに独自の届出書があり、記入方法や必要書類が異なる場合があります。基本的な必要書類は共通していても、細かな様式の違いに対応する必要があるため、一つひとつ確認しながら進めることになります。

口座が多いほど窓口対応の負担が大きくなる理由

口座数が増えるほど、書類の準備や窓口とのやり取りの回数も増えていきます。平日の日中しか対応していない窓口もあり、仕事をしながら複数の金融機関に足を運ぶのは大きな負担になりやすいといえます。

窓口で書類の不備を指摘されると、役所へ戻って取り直し、後日また銀行へ行くという流れを繰り返すことにもなりかねません。

まとめて手続きを依頼できる司法書士の遺産整理業務

こうした負担を軽減する方法として、司法書士に戸籍収集から預貯金の解約、不動産の名義変更までをまとめて依頼する「遺産整理業務」があります。

複数の金融機関とのやり取りを代行してもらうことで、相続人自身の負担を大きく減らすことができます。

預貯金の相続手続きは明成法務にお任せください

預貯金の相続手続きは、口座数が増えるほど手間と時間がかかります。明成法務司法書士法人では、相続手続き全体をワンストップでサポートする体制を整えています。

戸籍収集から複数銀行の解約までまとめて依頼できる

戸籍謄本の収集から、複数の金融機関での預貯金の解約・名義変更、遺産分割協議書の作成まで、まとめてご依頼いただけます。窓口とのやり取りを代行することで、相続人の方の負担を軽くします。

初回相談無料・追加料金なしで安心して相談できる

初回相談は無料で、追加の相談料もかかりません。司法書士報酬は約98,000円(税抜)からご案内しており、ご契約前に費用を明確にお伝えするため、「相談すると高額な費用を請求されるのでは」と不安な方も、まずは気軽に現在の状況をお聞かせください。

平日20時まで、土日祝も対応で働きながらでも相談できる

平日は仕事で時間が取りにくいという方のために、平日20時まで、土日祝日も相談を受け付けています。ご自身のペースに合わせてご利用いただけます。

まとめ:預貯金の遺産分割は正しい書き方と手順で進めましょう

預貯金の遺産分割には、全額を一人が受け取る方法や割合で分ける方法など、いくつかのパターンがあります。銀行に受理される協議書を作成するには、口座情報を正確に記載し、金額の書き方や端数の扱いにも配慮することが大切です。

複数の金融機関がある場合は、書式の違いや窓口対応の負担も大きくなりやすいため、早めに準備を進めることをおすすめします。手続きが煩雑に感じられる場合は、専門家にまとめて依頼することで負担を減らすことができます。明成法務では初回無料相談を通じて、状況に合わせたサポートをご提案していますので、お気軽にご相談ください。

【無料相談のご予約はこちら】 TEL:0120-855-858(受付時間:平日9:00〜20:00/土日祝も対応)

あなたの状況に合わせた
対処方法をご案内します。

\相談は無料・最短1分で完了/

今の状況に近いのは?

無料で相談をはじめる