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遺言書が無効になるケースについて解説
2025年5月22日
遺言書が無効になるケースについて解説
遺言書は、相続の際に被相続人の意思を反映させるための重要な書面です。
遺言書を作成することで、遺言者が自分の遺産の分け方を決めることができます。
しかし、遺言書が法的に無効とされるケースが少なくありません。
遺言書が無効の場合、相続人同士のトラブルを招き、被相続人の意思通りに相続が進まない事態になることに繋がりかねません。
そこで、遺言書が無効となる具体的なケースと、それを防ぐための注意点について解説します。
遺言書が無効になる主なケース
遺言書が無効になる主なケースは以下の通りです。
遺言能力の欠如
遺言書が無効になる主なケースの1つめは、遺言能力が欠如している場合です。
遺言書を作成するには、遺言者が遺言能力を有している必要があります。
遺言能力とは、自身の財産や相続について正しい判断ができる能力のことです。
例えば、認知症や重度の精神障害を抱えている場合、遺言書を作成した時点で適切な判断ができなかったとされると、その遺言書は無効と判断されることがあります。
これを防ぐためには、遺言書を作成する際に医師の立会のもと遺言書を作成したり、医師の診断書を用意しておいたり等、遺言能力が十分であることを証明できる書類を準備することが有効です。
形式不備
遺言書が無効になる主なケースの2つめは、遺言の形式に不備がある場合です。
日本の民法では、遺言書の形式に厳格な要件が定められています。
形式不備があると、内容が正しいものであっても遺言書は無効となる可能性があります。
自筆証書遺言の場合、遺言者が全文、日付、署名を自筆で書き、押印する必要があります。
部分的にでも他人が代筆した場合や日付が書かれていない場合などは無効となります。
また、財産目録は自書したものでなくとも認められますが、その場合は、全ページに遺言者の署名押印が必要です。
公正証書遺言については、公証役場で作成されるため、形式不備のリスクは低いですが、証人が2名以上立ち会う必要があります。
内容が不明確な場合
遺言書が無効になる主なケースの3つめは、遺言の内容が不明確な場合です。
遺言書の内容が曖昧である場合、遺言者の真意が不明とされ、遺言書が無効となることがあります。
たとえば、「親族に相続させる」といった表現の場合、どの親族にどの財産をどの割合で分けるのかが明示されていなければ、無効になる可能性があります。
遺言書の内容を明確にするためには、専門家の助言を受け、財産の特定や相続分の詳細な記載を心掛ける必要があります。
強制された遺言
遺言書が無効になる主なケースの4つめは、強制された遺言である場合です。
遺言書は遺言者の自由意思に基づいて作成されるべきものです。
しかし、第三者から脅迫や詐欺、圧力を受けた状況で作成された遺言書は、その遺言者の真意ではないとみなされ、無効となる場合があります。
特に、高齢者や病気で判断能力が低下している場合、周囲の人間が遺言内容に影響を与えるリスクがあります。
このような問題を避けるためにも、遺言書作成時には信頼できる第三者、例えば公証人や司法書士などの専門家の立ち会いを依頼することが推奨されます。
遺言内容が公序良俗に反する場合
遺言書が無効になる主なケースの5つめは、遺言内容が公序良俗に反する場合です。
公序良俗に反するとは、反社会的な行為であることをさします。
公序良俗に違反する遺言内容の主な例が、必ずしも無効になるとは限りませんが、不倫相手に対する贈与です。
一般常識から明らかにかけ離れている遺言内容の場合には、遺言が無効となるリスクがあるため、注意が必要です。
遺言書が無効にならないためのポイント
遺言書が無効にならないための作成のポイントは以下の通りです。
専門家のサポートを受ける
遺言書が無効にならないための作成のポイントの1つめが、専門家のサポートを受けることです。
遺言書は法律に基づいて作成するため、司法書士などの専門家の助言を受けながら進めることにより、遺言が無効となるリスクを減らすことができます。
特に、遺言の内容が複雑な場合や、財産が多岐にわたる場合、家族関係が複雑な場合には、専門家のサポートが欠かせません。
公正証書遺言を利用する
遺言書が無効にならないための作成のポイントの2つめが、公正証書遺言を利用することです。
公正証書遺言は、公証人がその作成に関わるため、遺言書の内容や形式に不備が発生することがほぼありません。
まとめ
本記事では、遺言書が無効になるケースについて解説しました。
遺言書は、故人の生前の意思を記す非常に重要な文書です。
しかし、遺言書には法律的な成立要件がありますし、法律をよく知らないまま書いた場合に無効となるケースが少なくありません。
遺言書を作成することを検討されている方は、司法書士に相談することをおすすめします。