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成年後見制度の申立て手続きの流れと注意点を徹底解説
2025年6月26日
成年後見制度の申立て手続きの流れと注意点を徹底解説
成年後見制度は、認知症や知的障害などにより判断能力が不十分な方を法的に支援する制度です。
家族や親族が申立人となり、家庭裁判所に申立てを行うことで、成年後見人等が選任されます。
ここでは、成年後見制度の申立て手続きの流れについて、申立ての条件から申立てに必要な書類、申立て後の流れまで詳しく解説します。
成年後見制度とは
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方を支援するための法律に基づく制度です。
本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。
成年後見人等が本人の生活や財産を守り、本人に代わって契約などの法律行為を行います。
成年後見制度の種類と概要
成年後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの種類があります。
■後見
平常時、判断能力が欠けている状態の方が対象です。
後見人には、本人の生活全般にわたり広範な代理権が与えられ、本人を保護・支援します。
■保佐
判断能力が著しく不十分な方が対象です。
保佐人には、民法で定められた一定の重要な行為について、本人の同意なしではできないという制限がかかります。また、家庭裁判所の審判により、同意権や代理権が与えられます。
■補助
判断能力が不十分な方が対象です。
補助人には、本人の判断能力はあるものの不十分な部分を補うため、申立てにより家庭裁判所が定めた特定の法律行為について、同意権や代理権が与えられます。
後見類型が最も判断能力の低下が進んだ方を対象としているのに対し、保佐類型は判断能力の不十分さの度合いがそこまで重篤ではない方が対象となります。
補助類型は、ある程度の判断能力があるものの一部に不安がある方のサポートを目的としています。
成年後見制度の申立て条件
成年後見制度の申立ては、本人の配偶者、四親等内の親族、市区町村長などが行うことができます。
申立人は、本人の生活状況や資産状況を把握し、成年後見制度の利用が必要と判断した場合に、家庭裁判所に申立てを行います。
成年後見人等の候補者
申立人は、成年後見人等の候補者を決めておく必要があります。
候補者は、本人の意思を尊重し、身上監護と財産管理を適切に行える方であることが求められます。
親族や専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が候補者となることが多いです。
成年後見制度の申立てに必要な書類
成年後見制度の申立てには、以下の書類が必要です。
・申立書
・戸籍謄本
・住民票の写し
・医師の診断書
・財産目録
・収支予定表
・候補者の身上書
・その他必要な書類
申立書の作成
申立書には、申立ての趣旨、本人の状況、成年後見人等の候補者などを記載します。
申立書の書式は、家庭裁判所のウェブサイトから入手可能です。
診断書の取得
本人の判断能力の程度を示す医師の診断書が必要です。
かかりつけ医や専門医に依頼して作成してもらいます。
診断書の書式も家庭裁判所のウェブサイトから入手可能です。
財産目録と収支予定表の作成
財産目録は、本人の資産や負債を詳細に記載した書類です。
預貯金、不動産、有価証券などの資産と、借入金などの負債を漏れなく記載します。
収支予定表は、今後の収入と支出の見込みを立てた書類です。
成年後見制度の申立て手続きの流れ
成年後見制度の申立て手続きの流れは以下の通りです。
1. 申立書類の作成
2. 管轄の家庭裁判所への申立て
3. 家庭裁判所による審理
4. 鑑定
5. 成年後見人等の選任
6. 審判の確定
以上が成年後見制度の申立てから審判確定までの一連の流れです。
申立ての準備から審判確定まで、通常2〜3ヶ月程度を要します。
手続きを円滑に進めるためにも、申立て前に家庭裁判所で必要書類を確認し、書類の作成や親族間の調整などを綿密に行っておくことが肝要です。
申立書類の作成と申立て
申立人は、申立書類を作成し、管轄の家庭裁判所に申立てを行います。
申立ては、窓口への持参もしくは郵送のどちらかの方法で行います。
家庭裁判所による審理
家庭裁判所は、申立書類を審査し、必要に応じて本人や親族への聞き取り調査を行います。
また、本人の判断能力を客観的に判断するため、医師による鑑定が行われることがあります。
成年後見人等の選任と審判
家庭裁判所は、審問や鑑定の結果を踏まえ、成年後見人等を選任します。
審判が確定すると、成年後見人等は法務局で登記を行い、その後、本人の支援を開始します。
成年後見制度利用開始後の流れ
成年後見人等が選任され、登記が完了すると、以下のような流れで本人の支援が行われます。
1. 財産の調査と管理
2. 身上監護
3. 家庭裁判所への報告
4. 報酬の請求
財産の調査と管理
成年後見人等は、本人の財産を調査し、適切に管理します。
預貯金の管理、不動産の管理、債権の回収などを行います。
身上監護
成年後見人等は、本人の生活状況を把握し、必要な支援を行います。
例えば、介護サービスの利用や施設入所の手続き、医療同意などを行います。
家庭裁判所への報告
成年後見人等は、定期的に家庭裁判所に報告書を提出し、本人の状況や後見事務の内容を報告します。
報酬の請求
成年後見人等は、家庭裁判所に報酬の請求を行います。
報酬額は、本人の資産状況や後見事務の内容を考慮して決定されます。
まとめ
成年後見制度は、判断能力が不十分な方を法的に支援する重要な制度です。
しかし、申立ての手続きは複雑で、専門的な知識が必要となります。
また、成年後見人等には、本人の意思を尊重しつつ、身上監護と財産管理を適切に行うことが求められます。
定期的な報告や家庭裁判所とのコミュニケーションを通じて、本人の最善の利益を図ることが重要です。
成年後見制度を利用することで、判断能力が不十分な方も安心して生活を送ることができるようになります。
申立てを検討している方は、専門家に相談し、適切な支援を受けることをおすすめします。