ブログ
遺言書作成のサポートを司法書士に依頼するメリットとは
2025年8月24日
遺言書作成のサポートを司法書士に依頼するメリットとは
人生の終盤を意識する中で、ご自身の意思を明確に伝える手段として遺言書の作成を検討する方が増えています。
しかし、遺言書は法律で定められた形式や内容を満たしていなければ無効になってしまう可能性があります。
ご自身で作成することもできますが、残されたご家族が遺言書の内容を確実に実行することができるよう、ミスのない遺言を作成するなら司法書士にサポートの依頼をすることがおすすめです。
この記事では、遺言書作成のサポートを司法書士に依頼するメリットについて解説します。
遺言書とは
まずは、遺言書に関する基礎知識から見ていきましょう。
遺言書の概要
遺言書とは、ご自身の死後、財産を誰にどのように分けるかなど、大切な意思を記すための文書です。
これは、ご自身の思いを家族へ明確に伝える手段であると同時に、将来の相続争いを未然に防ぐためにも重要な役割を果たします。
法的効力を持つには条件がある
遺言書には、以下の3種類があります。
| 遺言書の形式 | 概要 |
| 自筆証書遺言 | 遺言者が全文を自分で書く形式。作成に費用がかからず、自宅で手軽に作成できる点が大きなメリット |
| 公正証書遺言 | 公証役場で公証人に作成してもらう遺言書。遺言の内容を口述し、公証人が筆記するため、形式ミスの心配がない |
| 秘密証書遺言 | 遺言の内容を秘密にしたまま、公証役場で遺言書が本人のものであることを証明する方法。数は多くないが、遺言内容を誰にも知られたくない場合に選ばれる |
特に自筆証書遺言では、遺言書の全文を自分で書くといった、法律で定められた細かな要件を満たす必要があります。
これらの条件にひとつでも不備があると、せっかく作成した遺言書も無効になってしまう可能性があるため注意が必要です。
遺言書作成のサポートを司法書士に依頼するメリット
遺言書を作成する際、ご自身で書くこともできますが、司法書士に依頼するという選択肢には多くの利点があります。
具体的には、次のようなメリットが挙げられます。
1.法的に有効な遺言書を作成できる: 法律の専門家が内容をチェックするので安心です。
2.相続トラブルを未然に防げる: 専門的な視点から、将来の争いを防ぐためのアドバイスを受けられます。
3.手続きや保管方法までサポートしてもらえる: 複雑な手続きや保管方法についても任せられるので、負担が軽減されます。
それでは、これらのメリットをひとつずつ確認していきましょう。
法的に有効な遺言書を作成できる
司法書士は、相続や不動産登記など、法律に基づく書類作成の専門家です。
遺言の内容が相続トラブルの原因とならないよう、法的リスクを考慮した文言調整を行い、法的に有効な遺言書を作成します。
また、最低限保障される相続分である「遺留分」への配慮など、専門家ならではのアドバイスも可能です。
特に再婚家庭や子どもがいないご夫婦など、相続関係が複雑になりやすいケースでは、司法書士の専門的なサポートが不可欠です。
相続トラブルを未然に防げる
相続トラブルを未然に防げることも、司法書士に依頼する大きなメリットです。
遺言書がない場合や、内容が不明確な場合、残されたご家族の間で思わぬ対立が生じてしまうことがあります。
世にいう「争族」と呼ばれる状況です。
これにより、良好な家族関係にまで深刻な影響が及ぶことも少なくありません。
司法書士は、中立的な立場で遺言書の内容を検討し、法律の観点から論点を整理してくれます。
その結果、ご家族が円満に話し合いを進めやすくなり、将来のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
手続きや保管方法までサポートしてもらえる
遺言書を作成するには、法律知識だけでなく、事務的な手間も数多く発生します。
たとえば、財産目録の作成では、不動産登記簿謄本の取得や預貯金の残高証明書の確認などが必要です。
司法書士はこうした手続きもまとめて代行できるため、ご本人やご家族の負担を大幅に軽減できます。
また、作成した遺言書の保管も重要なポイントです。自筆証書遺言の場合、自宅で保管していて紛失したり、改ざんされたりするリスクがあります。
司法書士は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」の利用や、公正証書として公証役場に保管する方法など、安全性の高い選択肢を提案してくれます。
このように、遺言書の作成から保管、将来の実行まで、一貫したサポートを受けられるのが司法書士に依頼する大きなメリットです。
実際に依頼する際の流れ
司法書士に遺言書作成のサポートを依頼する際の、一般的な流れは以下のとおりです。
1.相談・ヒアリング: 遺言書作成の目的や、財産・相続人の状況などをお伺いいたします。
2.財産・相続人の調査: 司法書士が法的な観点から財産や相続人を調査します。
3.遺言書の作成と確認: 調査結果をもとに遺言書を作成し、内容をご確認いただきます。
4.完成・保管: 完成した遺言書の保管方法についてご提案します。
各ステップについて、詳しくみていきましょう。
①相談・ヒアリング
まずは司法書士に相談し、ご自身の家族構成や財産の状況、そして遺言書に記載したい内容などをお伺いたします。
このヒアリングをもとに、どの遺言形式が最適かを判断します。
②財産と相続人の調査
司法書士が不動産の登記簿や預貯金の残高などを調査し、正確な財産一覧を作成します。
同時に、相続人の確認も漏れなく行うことで、遺言書作成の準備を確実に進めます。
③遺言書の作成と確認
ヒアリングと調査結果をもとに、司法書士が遺言書の案文を作成します。
その内容をご確認いただき、必要に応じて修正を加えながら、最終的な遺言書を完成させます。
④完成・保管
完成した遺言書は、ご希望に応じて保管方法を選ぶことができます。
自宅での保管、法務局への保管、あるいは公証役場での作成・保管など、司法書士が最適な方法を提案し、その手続きをサポートします。
費用の目安
司法書士に遺言書作成のサポートを依頼する場合の費用は、依頼する事務所や遺言書の内容によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
| 項目 | 費用目安 |
| 自筆証書遺言のサポート | 5万円~10万円程度 |
| 公正証書遺言のサポート | 10万円~20万円程度(公証人費用は別途必要) |
| 財産調査や相続人調査 | 個別に加算される場合あり |
司法書士への依頼費用は高く感じられるかもしれません。
しかし、将来の相続トラブルを未然に防ぎ、確実に意思を伝えられることを考えれば、それはご自身とご家族の未来を守るための必要な投資だと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、遺言書作成のサポートを司法書士に依頼するメリットについて解説しました。
遺言書は、形式が不適切だったり、内容に不備があったりすると法的に無効になってしまうだけでなく、かえって相続トラブルの原因になることもあります。
司法書士は、法律事務の専門家として、法的に必要十分な内容となる遺言書を作成するためのサポートができるだけでなく、将来のトラブルを防ぐためのアドバイスも行います。
相続に関して少しでも不安がある場合は、早めに司法書士への相談を検討してみましょう。


