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後見人とは?法定後見と任意後見などについて解説
2025年3月26日
後見人とは?法定後見と任意後見などについて解説
法定後見制度は、既に判断能力が不十分な状態にある方をサポートする制度のことで、家庭裁判所が後見人を選任することになりますが、本人の判断能力の程度によって、(1)成年後見人、(2)保佐人、(3)補助人の3種類に分かれます。
また、本人の判断能力が十分あるうちに、本人がまだ判断能力が十分にあるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ「誰に、どのようなことをしてもらいたいか」を自分で決めておくことができる任意後見制度があります。
以下で詳しく解説いたします。
後見人とは
判断能力が不十分な方をサポートし、生活の支援するために、代わりに契約などの法律行為を行ったり、法律行為への同意を与えたり、不利益な法律行為を取り消したりする役割を担う人の総称です。
後見人の種類
後見人は大きく、法定後見人と任意後見人に分かれます。
法定後見人は民法に規定されている後見人で、本人の判断能力の程度によって、以下の3つの種類が民法で画一的に規定されていて、権限の範囲が分かれています。
・成年後見人
・保佐人
・補助人
(1)成年後見人は判断力がほとんどないような場合に選任されます。
(2)保佐人は判断力を著しく欠いている場合に、(3)補助人は日常生活を送るに支障はないけれど、判断力が低下しているときに選任されることになります。
任意後見人は、まだ本人に判断能力があるうちに、あらかじめ、本人の希望に応じて選んだ人との間で、公正証書により任意後見契約を締結し、権限の範囲も決めておく場合です。
成年後見人とは
成年後見人は、認知症などの進行や病気などで寝たきりになるなどして、判断能力がほとんどなくなってしまった方をサポートする人です。
サポートされる本人のことを成年被後見人といいます。
本人の判断能力がない以上、契約等は成年後見人が代理で行いますし、本人が勝手に契約してしまった場合でも、日用品の購入その他日常生活に関する行為以外のほとんどの契約を成年後見人が取消すことができます。
成年後見人は、本人が判断能力を失えば当然に付されるわけではなく、本人や家族、親族等が家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てることで、家庭裁判所に選任してもらいます。
なお、成年後見人は、申立てを行った家族の希望する人が選ばれるとは限らず、家庭裁判所の判断で専門家が選ばれることもあります。
保佐人とは
保佐人は、認知症などで判断能力がかなり衰えている方をサポートする人です。
サポートされる本人のことを被保佐人と言います。
被保佐人は、日常の買い物などは自分の判断でできる状態にあることが想定されています。
ただ、不動産の売買などの重要な契約については、本人だけで契約するには不安があるため、保佐人のサポートを受けることになります。
保佐人のサポートが必要な契約については、民法13条1項に列記されています。
不動産の売買の他、借入れや保証をすること等が規定されています。
被保佐人がこうした契約を行う場合は、保佐人が確認し同意を与える形でサポートします。
また、同意なしで不利な契約を結んでしまった場合は、保佐人が取消すことができます。
代理権は原則として有していませんが、家庭裁判所が必要に応じて、範囲を指定したうえで代理権を付与します。
保佐人のサポートを受けるためには、成年後見と同様に、家庭裁判所に保佐開始の審判の申立を行い、保佐人を選任して貰う必要があります。
補助人とは
補助人とは、本人の判断能力に不安がある場合に、状況に応じてサポートする人のことです。
サポートされる本人のことを被補助人と言います。
被補助人は、日常の買い物はもちろんですが、普通の契約も大半は本人の判断で行うことができる状況にあることが想定されています。
ただ、一部の重要な契約については、本人だけで契約するには不安があるため、補助人のサポートを受けることになります。
どのような契約について、補助人のサポートを必要とするか。
また、どのような形のサポートを必要とするかについては、家庭裁判所に補助開始の審判の申立をした際に、家庭裁判所の審判により決定します。
任意後見人
法定後見人は、家庭裁判所が選任し、本人や親族の希望通りの人が選任されるとは限りません。
本人が希望する人に、自分の後見業務を行ってもらいたい場合に活用できるのが、任意後見制度です。
本人の判断能力が十分あるうちに、あらかじめ後見人となってくれる人(任意後見受任者)との間で任意後見契約を締結しておきます。
将来サポートが必要になったときは、任意後見受任者や親族等が家庭裁判所に申立を行うことで、任意後見受任者が任意後見人としてサポートを開始します。
その際、家庭裁判所は、任意後見人を監督する任意後見監督人を選任するため、任意後見人が被後見人の財産を使い込むことを防止することができます。
任意後見契約は、任意後見契約に関する法律により、公正証書で締結するものとされています。
公証人のチェックを受け、任意後見制度が悪用されることを防ぐためです。
また、任意後見人の権限の範囲については、任意後見契約締結時に話し合いにより決めておきます。
どのような業務を任意後見人に頼むべきかについては、ご自身だけでは判断できないことも多いため、専門家に相談して決めるとよいでしょう。
まとめ
今回は判断能力等が衰えた方をサポートするための後見制度についてご紹介しました。
まだ、本人に判断能力がある状態であれば、判断能力が無くなったときに誰にどのような範囲でサポートを任せたいか、将来的に不安がある方は、専門家に相談し、任意後見人制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。