信託契約書を公正証書で作成するメリットについて

2025年12月23日

信託契約書を公正証書で作成するメリットについて

財産を持つ人が、将来のために財産の管理や運用を受託者に任せる信託は、相続対策や認知症対策として有効な手段です。
この信託を設定する際に作成する信託契約書は、その信託の内容を定める根幹の文書となります。
この記事では、信託契約書を公正証書で作成することのメリットと、公正証書にしない場合の注意点について解説いたします。

信託契約書とは?

信託契約書とは、財産を持つ人(委託者)が、信頼できる人(受託者)に財産を移し、特定の目的に従ってその財産を管理・運用してもらうための契約内容を定めた文書です。
この契約書は、信託の目的、信託財産の内容、受託者の権限と義務、受益者が誰であるかなどの事項を明確にして作成されます。
信託契約書は、信託を設定する際に不可欠な法的文書であり、信託法に基づいた厳格な要件を満たす必要があります。
この契約書によって、財産の所有権は受託者に移りますが、経済的な利益は受益者が享受するという財産管理の仕組みが成立します。

信託契約書を公正証書で作成するメリットとは?

信託契約書を公正証書で作成することには、その法的な確実性を高める上で、いくつかのメリットがあります。

法的な証明力が高い

公正証書は、公証役場で公証人が法律に基づいて作成する公的な文書です。
公証人が作成するため、信託契約書の内容が法的な有効性を備えていることが強力に担保されます。
これにより、後々契約内容や、その成立自体が争われる事態を防ぐことが可能です。
特に、契約の成立や内容について、強力な証拠能力を持ちます。

信託口口座が作成できる

信託契約書を公正証書で作成することで、受託者名義で信託口口座を開設できる金融機関が多くあります。
信託口口座とは、受託者の固有財産と信託財産を明確に区別して管理するための専用口座です。
信託口口座を利用することで、信託財産の管理の透明性が高まり、受託者個人の債権者から信託財産が差し押さえられるリスクを防げます。
公正証書ではない私文書では、金融機関が信託口口座の開設を認めないケースが多く、公正証書として作成された信託契約書を求められることが多いです。

不動産の信託登記がスムーズに進む

信託財産に不動産が含まれる場合、信託の事実を登記簿に記録する信託登記が必要です。
信託契約書が公正証書で作成されていると、その信託契約書の真正性が担保されるため、法務局での信託登記の手続きがスムーズに進みます。
登記官は、公正証書の高い証明力を信頼して手続きを進めることができます。
特に、信託登記は手続きが複雑であるため、公正証書による証明力は手続きの円滑化に大きく貢献します。

トラブルを防止できる

信託契約書を公正証書で作成することで、契約内容を明確にでき、合意内容の認識の齟齬が生まれにくいです。
公証人が専門的な視点から契約内容を確認し、明確な条項に整えてくれるため、当事者間の解釈の食い違いを防げます。
これにより、信託の目的や財産管理の方法について、将来的な争いを未然に防ぐことができます。

信託契約書を公正証書で作成しない場合の注意点

信託契約書を公正証書で作成しない場合、以下のようなリスクや不便が生じる可能性があります。

不備に気づかずに無効になる可能性がある

公正証書で作成しない場合、信託契約書の作成方式や記載内容に不備があっても、気付くことができません。
作成者が法的な知識を持っていない場合、信託法上の要件を満たさない不備に気づかずに契約書を作成してしまい、後から信託契約自体が無効になる可能性があります。
信託法が定める要件を満たさない場合、信託が成立しなかったと判断されてしまう場合があります。

有効性について争いになる場合がある

公正証書ではない私的な文書で信託契約書を作成した場合、その契約の成立や、委託者の意思能力について、相続人などの関係者間で争いになる場合があります。
特に、委託者が高齢であった場合など、契約締結時の意思能力について疑義が生じやすく、裁判でその有効性が争われるリスクがあります。
裁判で契約の有効性が認められないと、信託の目的が達成できなくなります。

まとめ

信託契約書は、信託の根幹を定める重要な文書です。
これを公正証書で作成することで、法的な証明力が高まり、信託口口座の開設や不動産登記がスムーズに進むメリットがあります。
公正証書で作成しない場合は、信託が無効となるリスクや、契約の有効性が争われるリスクがあるため、注意が必要です。
信託契約書の公正証書化や信託登記でお困りの際は、ぜひ司法書士にご相談ください。