相続登記の義務化について解説

2025年1月24日

相続登記の義務化について解説

相続登記が義務化されたことをご存じでしょうか。
相続登記が放置されてきたことにより、様々な社会問題が起きただけでなく、相続した人にも様々なデメリットが存在しています。
この記事では、相続登記の義務化の内容や手続き、費用について詳しく解説します。

相続登記とは

人が亡くなると、相続が発生します。
相続登記とは、亡くなった人の所有していた不動産を、亡くなった人の名義から、相続によってその不動産を取得した人の名義に変更する際に行う登記の手続きのことです。

相続登記を行わない場合のデメリット

相続登記を行わないと、以下のようなデメリットが発生すると考えられます。

・売却できない
・相続人間での後々紛争の原因になる

なぜ相続登記の義務化が必要なのか

今まで、相続登記は義務ではなく任意だったため、期限がなく、相続登記がされずに相続が繰り返された結果、登記簿(不動産に関する記録が記載された帳簿)を見ても所有者がわからない「所有者不明土地」が全国で増加しました。
所有者が不明なので、まちづくりのための公共事業や災害が発生した後の復旧復興が進まないといった問題、適切な管理がされずに周辺の生活環境の悪化を招くなどの問題が深刻化しました。
このような問題を解決するため、令和3年(2021年)法律が改正され、これまで任意だった相続登記が義務となったのです。

相続登記の申請は3年以内に

令和6年4月1日以降、相続(遺贈も含む)によって不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならなくなりました。
また、令和6年4月1日より以前に発生した相続がある場合も、義務化の対象となります。
同様に3年の猶予期間がありますが、施行日より3年間なので、令和9年3月31日までに申請しなければならないため注意が必要です。

義務化に伴い違反者にはペナルティも

正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。
不動産を相続したら、早めに相続登記の申請を行うことが賢明です。

相続登記の手続きの流れ

ここからは、実際に相続登記を行う場合の手続きの流れについてご紹介します。
大きく分けて以下の3つの手順で行います。

1.必要書類の収集
2.申請書の作成
3.法務局へ提出

1.必要書類の収集

法務局へ提出する必要書類については相続の内容によって異なりますが、おおむね次にあげる書類が必要になります。
原則として原本の添付が必要となりますが、他の相続手続きで原本を必要とする場合等は、原本の還付(返還)を請求することができます。

・被相続人の戸籍全部事項証明書(出生から死亡まで)
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票の写し
・相続人全員の戸籍全部事項証明書
・相続人全員の住民票または戸籍の附票の写し
・遺産分割協議書又は遺言書
・固定資産評価証明書

2.申請書の作成

申請書の様式(ひな形)や記載の仕方については法務省のホームページに掲載されています。
法定相続や遺産分割、遺言書による相続など種類ごとに分かれているので確認し、ダウンロードしてパソコンで作成するか、直接記入して作成します。
その際、以下の点に注意しましょう。

・用紙:A4サイズで、長期間保存できる丈夫な紙質
・筆記用具:黒色ボールペンなど
※鉛筆やフリクションペン(摩擦などにより消える、または見えなくなるもの)は使用できません。

3.法務局へ提出

相続した不動産の所在地を管轄する法務局に、申請書および必要書類を提出します。
提出にあたっては、①窓口に持参、②郵送、③オンラインのいずれかの方法を選ぶことができます。

相続登記にかかる費用

最後に、相続登記にかかる費用についてご紹介します。
相続登記にかかる費用として、大きく分けて2つあります。

・必要書類の取得費用
・登録免許税(法務局の手数料)
・(司法書士に依頼した場合)司法書士の報酬

相続登記に必要な書類の多くは、市区町村役場で取得します。
発行手数料として1通300円~750円程度かかりますが、相続登記では必要書類の枚数が多いので、数千円~1万円程度と考えておきましょう。
登録免許税については申請と同時に納める税金で、固定資産税評価額の1000分の4と定められています。
具体的には、相続した不動産の固定資産税評価額が1,000万円だった場合、4万円ということになります。
また、相続登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬も必要となります。

まとめ

所有者不明土地の問題等、様々な社会問題の解決に向けて、相続登記が義務化されました。
相続登記手続きが複雑な場合でも、早めの対応と司法書士への依頼でスムーズに進めることが重要です。
相続が発生した際は速やかに対応できるよう、準備しておくと良いでしょう。