相続放棄しないとどうなる?放棄しなかった場合のリスクと影響
親が亡くなったけれど、借金があるかどうかわからない。手続きが難しそうで、このまま放置してもいいのだろうか——そう迷っている30〜50代の方は少なくありません。しかし、「何もしない」という選択が、かえってリスクになる場合があります。
相続には、法律で定められたルールと期限があります。判断を先延ばしにしている間に、これからの生活に影響しかねない事態を招いてしまうこともあります。
この記事では、相続放棄をしなかった場合にどのような影響があるのかを、わかりやすく解説します。
相続放棄しないとどうなる?放置すると借金もすべて引き継ぐことに

親の財産状況が不明なまま、特に手続きをせずに放置していると、法律上は「単純承認」をしたものとみなされます。これは、亡くなった方の財産も借金もすべて無条件で引き継ぐという意思表示をしたのと同じ扱いです。
知らないうちに多額の借金の保証債務を引き継いでいた、未払いの税金がたまっていた、といった場合でも、一度この状態が成立すると、後から取り消すことは原則としてできません。
何もしないと財産も借金も引き継ぐルール|単純承認
相続が始まったことを知った時から3ヶ月以内に相続放棄などの手続きをしない場合、原則としてすべての財産を引き継ぐ「単純承認」をしたものとみなされます(民法第921条第2号)。
つまり、プラスの財産である預貯金や不動産だけでなく、マイナスの財産である借金や未払い金についても、支払う義務を負うことになります。
亡くなった後に発覚した借金や未払い税金も対象になる
「親は堅実だったから借金なんてないはず」と思っていても、亡くなった後に督促状が届き、消費者金融からの借り入れや滞納していた税金が発覚するケースは珍しくありません。相続放棄をしないままでいると、生前に把握していなかった負債についても返済していくことになります。
一度期限を過ぎると、後から放棄するのは難しくなる
相続放棄の期限である「3ヶ月」を過ぎてしまうと、後から大きな借金が見つかったとしても、家庭裁判所に放棄が認められにくくなります。手続きを後回しにしていると、想定外の金銭的な負担を負うリスクがあるため、早めの確認が大切です。
なお、期限を過ぎた場合でも、事情によっては例外的に認められる可能性があります。この点は、期限後の相続放棄について解説した別の記事もあわせてご確認ください。
知っておきたい相続放棄のメリット・デメリット
相続放棄を検討する際に気になるのは、「自分にとってメリットがあるのか」という点でしょう。放棄をすれば親の負債の返済義務から離れられますが、同時に長年住んだ実家や思い出の品も受け取れなくなるという側面があります。
決断する前に、メリットとデメリットの両面を冷静に比較し、ご自身の今後の生活にとってどちらが望ましいかを考えることが大切です。
メリット:親の借金や督促から解放される
大きなメリットは、親が残したマイナスの財産から切り離されることです。借金の返済義務がなくなるため、債権者からの督促に対応する必要もなくなります。特に、親と疎遠で財産状況がわからないという方にとって、自分の生活と家族の暮らしを守れることは、精神的な安心につながります。
デメリット:実家などプラスの財産も受け取れない
一方で、相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとみなされるため、遺産を受け取る権利を失います。預貯金はもちろん、先祖代々の土地や建物なども受け取れなくなります。
「実家だけは残して借金だけを放棄する」ということはできないため、慎重な判断が求められます。
相続放棄をしなくてよいケースとその他の選択肢
すべてのケースで相続放棄が必要なわけではありません。プラスの財産が借金を明らかに上回っている場合や、親の生前の資産状況を把握できており負債の心配がない場合は、そのまま相続するという選択も考えられます。
また、借金の有無がわからない場合に向けた選択肢もあります。ご自身の状況がどのケースに当てはまるか、まずは落ち着いて整理してみましょう。
プラスの財産(預貯金や家)が明らかに多い場合
相続する預貯金や不動産の価値の合計が、借金の総額を大きく上回ることが確実であれば、放棄の必要性は低いと考えられます。相続した財産の中から借金を返済し、残った財産を活用することができるためです。
調査を尽くして借金がないと確認できている場合
生前から親の財産管理をサポートしており、通帳や契約書類、信用情報の調査などを行って負債が確認されない状況であれば、放棄の手続きをとらないという判断も考えられます。ただし、後から負債が判明する可能性もゼロではないため、確認は丁寧に行いましょう。
プラスの財産の範囲内で借金を返す「限定承認」という方法も
「借金があるかもしれないが、プラスの財産の方が多い可能性もある」という場合の選択肢が「限定承認」です。これは、相続したプラスの財産の範囲内でのみ借金を返済し、財産が余れば引き継ぐことができる方法です。
ただし、相続人が複数いる場合は全員が共同で申述する必要があるなど手続きが複雑なため、専門家の助言を受けながら進めることをおすすめします。
相続放棄すべきか判断するための3つのチェックポイント
相続放棄すべきかを判断するには、いくつかの重要なポイントを確認しておく必要があります。特に注意したいのが、手続きの期限と、相続財産に対するご自身の行動です。よかれと思って行ったことが、放棄できない状態を招いてしまうこともあります。
以下の3つのチェックポイントを確認しておきましょう。
1. 亡くなったことを知ってから3ヶ月以内であるか
法律上の期限は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内です(民法第915条第1項)。この期間を過ぎると、特別な事情がない限り、すべての財産を引き継ぐとみなされます。30〜50代の方は仕事や家事で忙しく、3ヶ月は短く感じられることも多いため、早めの対応が大切です。
2. 督促状や通帳など、親の財産の全容を把握できているか
親の自宅に督促状が届いていないか、通帳に不審な引き落としがないかを丁寧に調査しましょう。財産の全容が見えないまま「たぶん大丈夫」と判断するのはリスクがあります。ご自身での調査に限界を感じたら、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
3. 形見分けなどで親の遺産をすでに処分していないか
特に注意したいのがこのポイントです。放棄の手続き前であっても、親の預金を引き出して使ったり、価値のある遺品を売却したりすると、相続する意思があるとみなされ、放棄ができなくなることがあります(法定単純承認)。形見分けの範囲を超えるような行為には注意しましょう。
判断に迷ったときこそ早めに専門家へ相談すべき理由
相続の手続きは、心身ともに負担がかかる中で進めなければならず、働き盛りの世代にとっては大きな負担になりがちです。法律の手続きには独特のルールがあり、対応を誤ると結果に影響することもあります。
「あの時すぐに相談していれば」と後悔しないために、専門家に相談するメリットを確認しておきましょう。
家庭裁判所への書類作成・収集は手間がかかる
家庭裁判所へ提出する書類の作成や必要書類の収集は、慣れない方にとっては手間のかかる作業です。手続きの不備で一度却下されると、同じ理由でのやり直しは難しいため、司法書士などの専門家に書類作成を任せることは、安心につながります。
財産調査には時間がかかり、3ヶ月は短く感じやすい
仕事や育児、介護に追われる中で、複数の金融機関に問い合わせたり書類を集めたりするのは負担が大きいものです。専門家に書類作成や戸籍収集のサポートを依頼することで、限られた期間内でも調査と準備を進めやすくなります。
放棄すべきか調査を続けるべきか、整理して判断できる
一人で悩んでいると、「本当にこれでいいのか」という不安が消えにくいものです。多くの相続事例に対応してきた専門家に相談することで、状況を整理し、選択肢を比較しやすくなります。
相続・放棄のお悩みは明成法務司法書士法人へ

相続の悩みは、一人で抱え込むほど不安が大きくなりがちです。当事務所は、お客様一人ひとりに誠実に向き合い、状況に応じたサポートを行っています。なお、相続放棄の申述において裁判所に対し代理人として対応することは弁護士の業務にあたるため、司法書士が行えるのは書類作成のサポートと相談への対応となります。
【初回相談は無料】まずはお気軽にお悩みをお聞かせください
「まだ放棄するか決めていない」「何から話せばいいかわからない」という段階でも構いません。まずは無料相談をご利用いただき、現在の状況をお聞かせください。
【土日祝日も受付】お仕事や家事で忙しい方も相談しやすい
平日は仕事で忙しい方のために、電話でのご相談を平日20時まで、土日祝日も受け付けています。ご自身のご都合に合わせて相談を進めていただけます。
【4拠点】埼玉・東京・茨城・群馬で対面相談にも対応
当事務所は、埼玉・東京・茨城・群馬の4か所に拠点を構えています。直接顔を合わせてじっくり相談したいという方にも、親身に対応いたします。
まとめ
相続放棄をしない場合の大きなリスクは、知らないうちに親の借金を引き継ぎ、生活に影響が及ぶことです。親の財産状況に少しでも不安や疑問があるなら、3ヶ月という期限が過ぎてしまう前に、早めに専門家へ相談することをおすすめします。当事務所では初回相談無料・土日祝対応で、状況に合わせたサポートを提供しています。

