相続財産調査のやり方と流れ|自分でできる?専門家に頼む目安も解説
「親が亡くなったものの、通帳や保険証券が見つからない」
「どこの銀行に口座があるのか分からない」
「借金があるかどうかも把握できていない」
と、不安を抱えている方は少なくありません。
相続手続きを進めるためには、まず亡くなった方の財産を正確に把握する「相続財産調査」が欠かせます。
しかし、仕事や家庭で忙しい中、自分だけで調査を進めるのは大きな負担になることもあります。
この記事では、相続財産調査の必要性や具体的な進め方、調査すべき財産の種類、自分で調査する方法と専門家に依頼した方がよいケースについて、わかりやすく解説します。
相続放棄や限定承認を検討する際に知っておきたいポイントや、司法書士へ相談するメリットも紹介しますので、「何から始めればいいか分からない」という方は、ぜひ参考にしてください。
相続財産調査とは?まず最初に行うべき理由
相続手続きを進めるうえで、最初に取り組むべきなのが「相続財産調査」です。 相続財産調査とは、亡くなった方が所有していた財産や負債を確認し、相続財産の全体像を把握するための手続きです。 財産の内容が分からないまま手続きを進めてしまうと、相続放棄や限定承認の判断を誤ったり、遺産分割や相続税申告で思わぬトラブルにつながったりする可能性があります。 ここでは、相続財産調査が必要な理由と、早めに進めるべきポイントについて解説します。相続財産調査とは亡くなった方の財産を確認する手続き
相続財産調査とは、亡くなった方が所有していた財産や負債を確認し、相続の対象となる財産を整理する手続きです。 調査の対象となるのは、預貯金や不動産、株式、生命保険などのプラスの財産だけではありません。 住宅ローンや借入金、未払いの税金などのマイナスの財産も含めて確認する必要があります。 相続財産の内容を正確に把握しておくことで、その後の遺産分割や名義変更、相続税申告などをスムーズに進めやすくなります。 まずは「どのような財産があるのか」を整理することが、相続手続きの第一歩です。相続放棄や限定承認を判断するためにも財産調査が欠かせない
相続財産調査は、相続放棄や限定承認を検討するためにも重要な手続きです。 相続人は、相続の開始を知った日から原則3か月以内に、 「相続する」 「相続放棄する」 「限定承認する」 のいずれかを判断しなければなりません。 そのため、財産調査を行わずに期限を迎えてしまうと、借金などの負債が後から判明しても対応が難しくなる場合があります。 特に、借入金の有無が分からないケースや、財産の全体像を把握できていないケースでは、できるだけ早く調査を始めることが大切です。遺産分割や相続税申告をスムーズに進めるためにも早めの調査が大切
相続財産調査は、遺産分割や相続税申告を円滑に進めるためにも欠かせません。 相続人全員で遺産分割協議を行う際は、相続財産が正確に把握できていることが前提となります。 協議後に新たな財産が見つかった場合は、話し合いをやり直す必要が生じることもあります。 また、相続税の申告が必要な場合は、財産の評価や申告漏れがないよう、早い段階から準備を進めることが重要です。 相続手続きをスムーズに進め、将来的なトラブルを防ぐためにも、相続が発生したらできるだけ早く財産調査に取り掛かることをおすすめします。相続財産調査のやり方|調査する財産と進め方を5つのステップで解説
相続財産調査は、順番に進めることで漏れなく効率的に行うことができます。 いきなり銀行や役所へ行くのではなく、自宅に残された資料を確認しながら、金融機関や役所への照会へと進めていくのが一般的です。 ここでは、相続財産調査の基本的な流れを5つのステップに分けて解説します。STEP1|通帳・郵便物・契約書など身近な資料を確認する
相続財産調査は、亡くなった方の自宅にある資料を確認することから始めます。 預金通帳やキャッシュカード、保険証券、不動産関係の書類、金融機関や証券会社から届いた郵便物などは、財産を把握する重要な手がかりです。 また、近年ではネット銀行やネット証券を利用している方も多いため、スマートフォンやパソコン、メールの受信履歴なども確認するとよいでしょう。 この段階で見つかった情報を整理しておくことで、その後の金融機関への照会や財産調査をスムーズに進めやすくなります。STEP2|預貯金・証券口座・生命保険など金融資産を調査する
手がかりが見つかったら、各金融機関で残高や契約内容を確認します。 銀行では残高証明書や取引履歴の取得、証券会社では保有株式や投資信託の確認、生命保険会社では契約内容や保険金の有無を調査します。 銀行名は分かっているものの支店が分からない場合でも、金融機関によっては口座の有無を確認できるケースがあります。 また、証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)の開示制度を利用する方法もあります。 金融資産は遺産分割や相続税申告にも関わるため、漏れがないよう慎重に確認しましょう。STEP3|不動産や自動車など名義のある財産を確認する
土地や建物などの不動産については、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書(登記簿謄本)などを確認します。 資料が見当たらない場合は、市区町村役場で名寄帳を取得すると、その自治体内で所有している不動産を確認できます。 不動産が複数の自治体にある場合は、それぞれで調査が必要です。 また、自動車についても車検証や自動車税の納税通知書などを確認し、名義や資産価値を把握しておきましょう。 これらは後の名義変更手続きにも必要になります。STEP4|借金やローンなどマイナスの財産を調査する
相続財産調査では、プラスの財産だけでなく借金やローンなどの負債も確認する必要があります。 借用書や督促状が見つからない場合でも、信用情報機関への開示請求を利用することで、銀行ローンやクレジットカード、消費者金融からの借入状況を確認できる場合があります。 また、住宅ローンや未払いの税金、保証人になっている契約なども相続の対象となる可能性があります。 相続放棄や限定承認を検討するためにも、マイナスの財産はできるだけ早い段階で調査しておくことが大切です。STEP5|財産目録を作成して相続手続きへ進む
調査が完了したら、確認できた財産を一覧にまとめた「財産目録」を作成します。 財産目録には、不動産や預貯金、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も記載します。 決まった様式はありませんが、財産の種類や金額、所在などが分かるよう整理すると、その後の手続きを進めやすくなります。 財産目録が完成すれば、遺産分割協議や相続登記、相続税申告など、次の相続手続きへスムーズに進むことができます。 相続財産全体を把握することが、円滑な相続手続きへの第一歩です。相続財産調査を自分で行う方法と難しいケース
相続財産調査は、相続人自身で進めることも可能です。 財産の内容が比較的シンプルな場合であれば、自分で必要書類を集めながら調査を進められるケースもあります。 一方で、財産の種類が多い場合や、手がかりが少ない場合には、調査に時間や労力がかかることも少なくありません。 ここでは、自分で対応できるケースと、専門家への相談を検討した方がよいケースについて解説します。自分で調査できるケースと必要な手続き
相続財産が預貯金や自宅など限られており、どこの金融機関を利用していたか把握できている場合は、自分で調査を進められる可能性があります。 調査を行う際は、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、相続人の戸籍謄本、本人確認書類などを準備し、銀行や役所、法務局で必要な手続きを行います。 金融機関では残高証明書の取得、不動産については登記事項証明書や固定資産税の資料を確認することで、財産の状況を把握できます。 近年では、郵送やオンラインで手続きできるものも増えているため、時間に余裕があれば自分で調査することも可能です。銀行・法務局・役所を回るため時間と手間がかかる
自分で相続財産調査を行う場合、最も大きな負担となるのが時間と手間です。 銀行や法務局、市区町村役場などは平日の日中しか窓口が開いていないことが多く、仕事をしながら何度も足を運ぶのは簡単ではありません。 また、金融機関や自治体ごとに必要書類が異なるため、不備があると再度手続きを行わなければならない場合もあります。 さらに、相続放棄や限定承認には原則3か月という期限があるため、調査に時間がかかるほど精神的な負担も大きくなります。 仕事や家庭との両立が難しい場合は、無理をせず専門家へ相談することも検討しましょう。通帳がない・遠方に住んでいる・財産が分からない場合は調査が難しい
次のようなケースでは、自分だけで相続財産調査を進めることが難しくなる場合があります。- 通帳や保険証券などの手がかりがほとんど残っていない
- ネット銀行やネット証券など、デジタル資産の利用状況が分からない
- 実家や不動産が遠方にあり、何度も現地へ行くことが難しい
- 借金やローンなどマイナスの財産があるか判断できない
- 相続財産の種類が多く、調査範囲が広い

