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遺言書作成の流れ
2024年11月26日
遺言書作成の流れ
遺言書や相続に関する事柄を相談できる身近な存在が司法書士です。
ご自身のもしもの時に備えて遺言書を作成したいが、詳しい作成の流れをご存知ない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、遺言書の種類や作成の流れについて解説いたします。
遺言書の種類
遺言書には以下の3つの形式があります。
・自筆証書遺言
・秘密証書遺言
・公正証書遺言
上記の3つのいずれも法的効力のある遺言書ですが、それぞれ厳格な形式が定められています。
遺言した人が亡くなった後に相続人が遺言書の内容通りに手続きを進めるには、形式に則り、不備なく作成しなければ法的な効力が発揮できません。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は文字通り、遺言する人が自身の手で紙に遺言内容を全て手書きし、日付・氏名・署名の下へ押印して、作成する遺言書です。
手書きで作成するため、内容の不備や書き損じが生じた場合、法律に定める方法で修正する必要があり、手間や時間がかかる場合がありますし、修正が正しい方法でなされなければ修正は無効です。
なお、2019年1月の法改正により、財産目録のパソコン作成、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書の添付が認められたため、自筆証書遺言作成の負担が軽減されました。
とはいえ、それ以外の内容を第三者による代筆やパソコンで作成することは認められていないため、比較的手間と時間がかかる方法です。
また、自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所にて検認という手続きを経なければ預金解約等の手続きをすることができません。
この点については、自筆証書遺言の法務局保管制度が開始したことで検認手続きが不要になった上、自筆証書遺言の紛失や改ざん等の可能性はなくなりました。
しかしながら、法務局保管の利用有無にかかわらず、相続開始後に自筆証書遺言を利用するためにそれなりの手間がかかり、遺族の負担になり得ます。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言書を封筒に入れ、遺言書で使用した印章で封印し、公証人と証人2名の前で遺言者自身の遺言書であることを宣誓し、立会人が立会いの証明として封紙に署名と押印します。
遺言した人が亡くなるまで、その内容を誰にも明かすことなく、自身が作成した遺言であることを法的に証明できます。
手書き、代筆やPCなど遺言書自体の作成方法は問われませんが、いずれの場合も遺言者自ら署名する必要があります。
しかし、遺言内容を誰も確認できないため、事前に司法書士等の専門家からの確認や指導を受けなかった場合、遺言した人の死後に内容等の不備が見つかり、遺言書が無効となったり遺言執行ができなかったりするリスクがあります。
公正証書遺言
公正証書遺言は、遺言する人が公証人と証人2名の前で遺言内容を口述し、公証人が内容を筆記して作成した遺言書です。
公証人がPCを使って作成しますので、自筆するより書き損じ等のミスや内容不備がほぼ発生しません。
また、相続開始後に検認等の必要がありませんので、収集する戸籍謄本等の書類が少なく済むことが多く、スムーズに不動産の名義変更や預金解約等の手続きへ進むことが可能です。
公正証書遺言がおすすめ
遺言書作成で最も重要なことは遺言者の意思に沿い、かつ法的効力のある遺言書の作成です。
公正証書遺言であれば、公証人が遺言書を作成するため、不備等がなく確実に遺言者の意思を残された家族に伝えられます。
加えて、残された家族が財産の相続手続きをする際の負担も、自筆証書遺言より軽くなります。
公正証書遺言の作成の流れ
公証人が遺言作成前に相談に乗ってくれる場合もありますが、相続財産の詳細や遺言内容を正確に記載するため、また、遺言する方の思いとは別に、どの財産をどの相続人に相続させることが適切か、二次相続や死亡の前後より変化する家族関係を考慮した場合どのような遺言内容が適切かを検討するために、司法書士への相談がおすすめです。
ここでは司法書士に相談して公正証書遺言を作成する流れを解説していきます。
司法書士への依頼と委任契約の締結
はじめに司法書士へ公正証書遺言の作成支援の依頼と委任契約を行います。
司法書士は遺言内容の相談だけでなく、その他の公正証書遺言の作成で必要となる作業を代行してくれるため、手間を大幅に軽減できます。
遺言書の内容について相談
遺言内容の検討にあたり、相続人や相続財産の正確な洗い出しが必要となります。
遺言する人の相続財産となりうるものや、誰にどの財産を相続させたいかなど、できる限り具体的に不備なく詳しく伝えます。
必要に応じて、司法書士が遺言する人が希望する内容のメリット・デメリットや改善案を示してくれます。
必要書類を準備する
一般的に、遺言する人が集める必要書類には以下の物が例として挙げられます。
・印鑑証明
・不動産登記事項証明書
・不動産固定資産評価証明書
・通帳のコピー
・有価証券の残高に関する書類のコピー
・その他財産の状況がわかる資料
・遺言者の相続関係がわかる戸籍謄本等(必要な場合)
遺言する人が集める際に、最も苦労する場合が多い書類が相続人の戸籍謄本です。
遺言する人の家族状況や遺言書の内容によっては、兄弟や甥姪の戸籍や両親の出生から死亡までの戸籍等多くの戸籍謄本を集めなければならない場合があります。
司法書士が文案を作成する
資料が揃うと、遺言する人の希望にそって、司法書士が公正証書遺言の文案を作成します。
司法書士に相談しながら作成する場合、遺言する人の希望に対して、遺留分の点や希望する相続内容でのリスクなど注意すべきポイントを相談しながら、文案の作成ができます。
公証役場と公正証書遺言の文言調整と作成日時を決定する
文案が完成すると、司法書士が公証人へ連絡し、文案と必要書類などを送付し、最終的な文案の打ち合わせを行います。
打ち合わせが完了後、公証役場での公正証書遺言の作成日時を調整します。
公証役場で、公正証書遺言を作成する
最後に実際に公証役場で公正証書遺言を作成します。
公正証書遺言の作成には、公証人、2名の証人の立会いが必要となります。
なお、遺言で財産を受け取る人、遺言による遺産相続の有無にかかわらず法律上相続人になり得る人や一定範囲の家族は証人になることができません。
司法書士を利用すると、司法書士と事務員が証人となる場合もあります。
遺言する人は、公証人から本人確認のための質問をされたり遺言の内容について口頭で説明を求められたりします。
確認や説明が終わり事前に司法書士と公証役場で調整していた文案と相違がなければ、遺言の文章を公証人が読み上げ、遺言する人と証人において記載内容に誤りがないか最終確認を行い、最後に遺言する人、証人と公証人が署名と押印をして手続きが完了します。
まとめ
遺言書の作成は、遺言する人の残された家族への思いを死後に残し、相続トラブルを防ぐ有効な手段です。
しかし、残された家族が確実に手続きできる正しい遺言書を作成するには、厳格な手続きや相続法に精通した司法書士への相談をおすすめします。
遺言書作成でお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。